会員訪問 北田記章氏 ((株)北田木材)
「“木と人の架け橋”という理念を胸に…」
北田氏と広報委員メンバー
林業の業態変化と必要性
祖父の代から続く北田木材は、北駿の山林で原木や間伐材を切り出し販売している会社です。おじいさんが創業された当時は営林署が所管する国有林を主として出材しておりましたが、時代の変遷によって次第に民有林の受注へシフトしていきました。ところが木材需要の低下や木材価格の低迷によって、山林の所有者が山の整備にお金を掛けなくなった事から民有林の森林整備が減り、山林が荒れた時期があったそうです。しかし森林は水源のかん養や災害防止、さらにはCO2吸収量の確保などの公共財としての側面もあるため、京都議定書が採択された2002年頃を境に環境保全のための森林整備が見直され、現在ではこのような森林整備事業に様々な補助金が支給されるようになったそうです。
人手不足に悩む林業業界
地球環境を守るという側面を持つ林業業界ですが、慢性的な人手不足に悩まされています。その理由は熟練が必要なうえに労働環境が過酷なため。近年急速に機械化・省力化が進み、北田木材でも積極的に専用機械を導入しているので、昔に比べるとだいぶ熟練度や労働の過酷さは減っているそうです。しかしいくら機械化が進んでも、安全な作業を行うためには熟練は必要。さらに機械が入れないような現場では、チェーンソーを担いで山を登り現場へ向かうこともしばしば。そのため若い技術者がなかなか育たないと悩んでおられました。行政などでも林業従事者を増やすための取り組みがなされ、Iターン希望者などを採用した事例もあったそうですが、都会の異業種から採用したIターン社員は、「自然の中で働きたい」というイメージと、想像以上にワイルドな現場とのギャップで長続きしないと悩んでいました。
同友会で創った理念を携えて
そんな中北田氏は2014年に同友会御殿場支部に入会。昨年、御殿場支部の経営理念部会で経営理念の成文化に取り組みました。北田氏の経営理念には「木を活かす」の文字が踊ります。木と人の架け橋となり、地域を支える森林を守り育てる技術者を育成し、未来へ続く森林づくりに貢献する。そして多くの人に木の恩恵をお届けするといった理念が作成されました。
立派な理念を成文化しましたが、まだ代表取締役である父や社員の皆様には内緒にしているそうです。今後は同友会活動を通じて経営理念の浸透に努力し、社員一人ひとりのモチベーションを向上させることが課題のようです。また経営指針作成や社員共育など、まだまだ多くの学びをしていきたいと語っておられました。
(株)北田木材 経営理念
『木を活かす』
木と人の架け橋として、様々な技術と情報を活用し、木の恩恵を多くの人にお届けします。
生きた木を扱うものとして、木を大切に思い知識と技術の向上に努め、安全で丁寧な作業を続けます。
地域を支える森林(もり)を守り育てる技術者として、広い視野と倫理観を持って、未来に続く森林(もり)づくりに貢献します。
結婚は?
広報委員会の取材班は最後に少し意地悪(?)な質問。北田氏の結婚時期について伺ってみました。現在35歳独身の北田君。木を愛しすぎて、なかなか良い出会いに巡り合わないそうです。取材班の先輩諸氏からは、「35歳までが紹介できるギリギリの年齢だよ」ど脅かされていました。
同友会では経営指針の成文化や社員共育を学ぶことはできますが、お嫁さん探しはまた別の努力が必要?「2~3年中には結婚したい」と意気込みはたっぷりですので、よい報告が聞ける日も近いのでは?と思った取材班でした。
取材・原稿:大川 隆久(フヱタ工業(有)・御殿場支部)
取材:勝間田 誠((株)文化堂・御殿場支部)
取材:勝亦 英樹 (勝亦製材駿河鉄骨(株)・御殿場支部)
取材:杉山 正英((有)杉山正五商店・御殿場支部)
取材:松岡 健二((株)オサコー計画・御殿場支部)
投稿日:2015年11月25日:御殿場同友会